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労務とはどんな業務?人事との違いや費用の内訳について解説

『会社設立のミチシルベ』のノゾミです。
会社の業務に「労務」というものがありますが、労務について正しく理解できているでしょうか?
労務の業務は人事と混同されることも少なくありません。
この記事では労務とはどのような業務なのか、人事とはなにが違うのか、また労務費の内訳についてもご説明していきます。

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目次
1.労務とは?
2.労務と人事の違い
3.労務費用の内訳
4.まとめ
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労務とは?

企業経営における経営資源「ヒト」「モノ」「カネ」の3つのうち、労務はこの「ヒト」の領域に関わる業務です。
「ヒト」の領域というと人事の業務と考える方もいるでしょうが、労務は業務等について一般的に定義されているわけではありません。
企業によっては人事と労務を同じ部署が担当している場合もあります。
労務と人事の業務範囲は会社によってもさまざまですが、一般的に労務は就業規則の整備や労働時間の管理など、「職場全体の環境を整備する」役割を担います。
一方、人事は従業員の採用・入退社の手続き・教育研修・異動・人事評価など、「個々の従業員の働き方をサポートする」役割を担うケースの仕事が多いようです。

労務と人事の違い

前述の通り、労務と人事の業務範囲には定義が無く、会社によってもさまざまですが、一般的に労務は「職場全体の環境を整備する」役割、人事は「個々の従業員の働き方をサポートする」役割と考えることができます。
大きく「役割」と言っても、なかなか違いがわかりにくいので、労務と人事それぞれの仕事内容について具体的にご紹介します。

労務の仕事内容

◆勤怠管理
労務が行う勤怠管理では、一般的に、以下の項目の把握が求められます。
・出退勤時間
・時間外労働時間
・休憩時間
・出欠勤日数
・休日出勤回数
・有休休暇取得状況
以上の勤怠情報は、就労規則に準じていることの確認や、人事評価などにも利用されることになります。
労働基準法第32条では、基本的に労働時間は週40時間、1日8時間以内が限度とされています。
しかし第36条に定められた「36協定」を結ぶことで、上限以上の労働をすることが可能です。
労務担当者は、労働基準法や36協定などに関しても理解しておく必要があります。

◆給与計算
勤怠情報を用いて、従業員の給与支給額を計算するのも労務の重要な仕事です。
給与計算では、以下の項目について計算を行います。
・基本給
・諸手当
・基準外手当
・法定控除
・その他控除
労務担当者は健康保険法や厚生年金保険法などの法律、また就業規則や雇用契約内の給与に関する規定に基づいて、以上の項目の計算を行う必要があります。

◆保険手続き
会社の従業員は、以下に挙げる社会保険・労働保険に含まれる保険に加入する必要があります。
保険への加入とその手続きも、労務担当者にとって大切な業務のひとつです。
・健康保険
・厚生年金保険
・介護保険
・労災保険
・雇用保険

◆福利厚生の管理
上記の保険への加入等、企業の負担が法律で義務つけられたものは「法定福利」と呼ばれ、それ以外の企業が任意で供与する福利厚生を「法定外福利」と呼びます。
法定外福利は従業員の家庭生活、安定性の向上や、労働生産性の向上等を目的としており、従業員のモチベーション向上に直結します。
そのため、法定外福利に関する手続きや提供に関する業務も、労務の重要な業務のひとつといえます。

◆安全衛生管理
従業員の安全と健康を確保するため、労働安全衛生法を遵守した安全衛生管理を行うことも労務の業務です。
安全衛生管理とは、具体的には労働安全衛生法に基づいて健康診断を実施し、以下について管理することです。
・健康診断の結果の記録
・結果についての医師からの意見聴取
・実施後の措置
・結果の従業員への通知
・健康保持のための保健指導
・所轄の労働基準監督署長への報告

また、2015年12月より、過重労働問題を踏まえたメンタルヘルス対策として、職場におけるストレスチェック制度も一部の企業に対して義務化されています。

◆就業規則の作成
常時10名以上の従業員を雇用する企業は、就業規則の作成と届け出の義務があります。
就業規則の作成と届出も、労務の仕事です。

人事の仕事内容

◆採用活動
学生を対象とした新卒採用、社会人を対象とした中途採用などは、人事の業務です。
採用活動では、応募者にどれだけ企業のPRができるかが重要になります。

◆社内研修の実施
従業員に対する社内研修制度の準備を行うことも、人事の仕事です。
社内研修は、従業員の啓発を推進し、法令遵守を促す重要な役割をもちます。

◆人事評価制度の作成
人事評価制度とは、企業ビジョンや経営目標を示したうえで、従業員の個人目標と成果を評価する方法です。
企業によって評価方法は異なりますが、目標に対する達成度を数値化し、客観的に判断することが一般的です。
評価結果は給与や賞与の額に反映されるので、公平な評価をしなくてはいけません。

◆配属先の決定
企業の人員計画に則って、従業員の配属先を決定することも人事の仕事です。
具体的には新入社員の配属先、人事異動、社外への出向・転籍などが含まれます。

労務費とは?

労務の業務内容と合わせて覚えておきたいのが「労務費」についてです。
労務費と人件費も、労務と人事のように混同されてしまうことが少なくありません。
一般的に人件費とは、給与・賞与・手当等の費用を指します。
会計処理における人件費は、目的に応じて労務費・販売費・一般管理費の3つに細分化されます。
労務費はそのうちでも「商品の製造に直接かかわる人の給与・賞与・手当等」のみを指す言葉です。
また、販売費は「商品の販売に必要な人の給与・賞与・手当等」を指し、一般管理費は「社員管理、仕入れや在庫管理に必要な人の給与・賞与・手当」を指します。
このため、サービス業・小売業などでは労務費が発生することがありません。
労務費は生産数に影響するためにコストカットがしづらく、特に管理が重要視されます。

労務費の内訳は、以下の5つに分類されます。
・賃金
・雑給
・従業員賞与手当
・退職給付費用
・法定福利費

まとめ

労務と人事の違いとそれぞれの仕事内容、そして労務費についてご説明しました。
労務と人事は混同されてしまいがちですが、それぞれに違った役割を持った、重要な業務ですので、覚えておきましょう。