お役立ちコラム

役員報酬の決め方で失敗しないポイントは?

『会社設立のミチシルベ』のカネコです。

役員報酬とは、その名の通り会社の役員に対する報酬ですが、簡単に言うと会社員の給料と同じです。

個人事業主であれば、売り上げから支出(経費)を引いた手残り額が実質的な給料となります。

しかし会社の場合、売り上げはあくまで会社の収入であって、役員の収入ではありません。

仮に、完全オーナー企業で役員が社長一人というケースでも、会社と個人とは切り離された存在です。

会社を設立する際には、まず大前提としてこのことを頭に入れておきましょう。

よって、役員報酬についていくら支払うということは別途、取り決めをする必要があるのです。

今回は、役員報酬の決め方をテーマに解説します。

報酬を決める手順から変更の仕方、税金が高くならないポイントについても解説します。

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目次

1.役員報酬を決める手順

2.役員報酬を決める際のルールとは?

3.中小企業の役員報酬の考え方と相場

4.税負担を軽くする役員報酬の決め方

5.株主総会で役員報酬額を決める場合は?

6.株主総会では必ず議事録を残しておく

7.最後に、専門家に相談する前に自分でも正しい知識を
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役員報酬を決める手順

役員報酬は社長の一存で決められると思っている方が多いですが、実はそうでもありません。

仮に役員報酬を勝手に決められると、会社のお金を社長が勝手に操作できることになり、法人と個人を明確に分離するルールが成り立たなくなってしまいます。

役員報酬の決め方は会社法(商法)でルールが決められていますので、それに従って決定する必要があります。

では、まず役員報酬を決める手順から解説していきます。

 

役員報酬を決めるには、次の【1】~【3】の手順が必要になります。

【1】役員報酬のルールについて理解する。

【2】株主総会で報酬額を決定する。

【3】役員賞与を支給する場合は事前に税務署に届け出をする。

 

役員報酬を決める際のルールとは?

はじめに解説したように、役員報酬は会社員でいう給与と同じです。

税務の面でも給与所得に該当し、役員報酬額に応じて所得税と住民税が課せられます。

ただし役員報酬の場合は、社長がその気になれば役員報酬を自由に変えることができてしまうため、以下のようなルールが定められています。

 

・役員給与は原則、事業年度を通じて一定であること。

・役員賞与を支給する場合は事前に税務署へ届け出ること。

 

この2点を守らない場合、役員報酬を支給したとしても、それを会社の経費として計上できなくなる可能性があります。

※事業年度開始から3カ月以内は、役員給与を変更することができます。

仮に、上記のルールを無視して支払い続けたとしても、支払うこと自体に問題は生じません。

しかし経費に計上できないため、法人税はその分安くならず、報酬は支払われているため、所得税は掛かります。

デメリットになる面が多く、メリットは感じられません。

役員報酬は、ルールを知ることが大切であり、ルールに沿った報酬の支払いを徹底した方が良いでしょう。

 

中小企業の役員報酬の考え方と相場

ルールを理解したところで気になるのが「役員報酬をどれくらいにするか」という点ではないでしょうか。
中小企業における役員報酬を決めるポイントと相場を確認しておきましょう。

役員報酬額は会社の規模や業種を基準に考える

「役員報酬」といっても、大企業と中小企業では金額も変わってきますよね。
役員報酬額を考える場合は、会社の規模、業種を基準にするのが一般的とされています。
同規模・同業種の会社の役員報酬を参考に、役員報酬額を検討しましょう。
その基準を大きく上回るような高額を設定していると、税務署が損金としての計上を認めない場合もあるので要注意。
役員報酬額を損金として計上できないと、法人税・個人の所得税の2重課税になり、支出が増えてしまう可能性があります。

中小企業の役員報酬額の相場は?

国税庁の民間給与実態統計(平成30年度)の調査結果によると、資本金2,000万円未満の民間企業の役員報酬額は平均605万円となっています。
また、2,000万円以上の場合は平均851万円、5000万円以上の場合は平均1,094万円でした。
ざっくりとした数値なので、会社の規模や業種別の役員報酬の相場に関しては、書籍「役員報酬・賞与・退職金」中小企業の支給相場2019年版のデータから見てみましょう。

【従業員規模別の役員報酬月額(平均値)】
・20人以下:80.1万円
・21~50人:112.4万円
・51~100人:130.4万円
・101~300人:188.9万円

 

【業種別の役員報酬月額(平均値)】
・製造業:131.9万円
・建設業:85.9万円
・卸業および小売業:120万円
・サービス業:114万円
 

税負担を軽くする役員報酬の決め方

役員報酬を決める際には、相場を参考にすることがポイントになりますが、税金の負担についても意識すべきです。
経営者のほとんどは少しでも税金を安く抑えたいところでしょう。

ここでは節税を意識した役員報酬について解説します。

まず、節税を意識するためには、所得税と法人税について知る必要があります。

個人の所得税については、皆様ご存じの通り累進課税となっており、所得が上がるにつれて税率も上がります。

下の表をご覧ください。

≪表≫所得税率一覧表

所得金額 税率 控除額
1,950,000円以下 5% 0円
1,950,000円超

~3,300,000円以下

10% 97,500円
3,300,000円超

~6,950,000円以下

20% 427,500円
6,950,000円超

~9,000,000円以下

23% 636,000円
9,000,000円超

~18,000,000円以下

33% 1,536,000円

 

18,000,000円超

~40,000,000円以下

40% 2,796,000円
40,000,000円超~ 45% 4,796,000円

 

これは、個人の所得税を一覧にしたものですが、所得が大きくなるほど税率が上がっていることが分かります。

次に法人税についてですが、資本金の規模や課税所得額によって変化はするものの、今の税法上は基本的に23.4%が最高税率となります。

※詳しく知りたい方は国税庁HPを参照してください。

 

税率23.4%と言うと、所得税で言う「6,950,000円超~9,000,000円以下」の所得に対して課せられる税率とほぼ同じです。

900万円を越える役員報酬を支給する場合は、税率だけで見ると法人税の方が得であると言えます。

※逆に役員報酬695万円以下であれば、所得税の方が得になります。

 

もちろん、役員報酬は基本的には経費(損金)にできますので、一概に900万円以下が正しいとは言えません。

ただ、利益が多く出ているからといって役員報酬を増やし過ぎても、かえって税金が増えてしまいます。

税金が安い法人の方に残す選択肢を、頭に入れておいた方が良いでしょう。

適切な役員報酬については、その会社の売り上げ、利益額、役員陣営の納税意識などにより様々ですので、そこは専門家である税理士の先生と相談しながら決めるのがベストです。

 

株主総会で役員報酬額を決める場合は?

中小企業の場合、株主総会で役員報酬額を決めることは少ないと思います。

しかし大きな会社になると、役員報酬は株主総会でその会社に出資をしている株主(多くの場合は役員)によって決定されます。

これは会社法によって定められており「代表者一人で役員報酬額を決めてしまうと、その代表者に有利になるような決め方をしてしまう可能性がある」という理由からです。

一般的な株式会社の場合、役員報酬の決め方は以下の2つのパターンが基本となります。

【1】株主総会で各役員の報酬額を決定する。
※シンプルに役員ごとの報酬額を個別に決めていくという方法です。

【2】株主総会で役員全員分の総報酬額を決定し、個別の金額はその後、代表役員同士の総意により確定する。
※役員に支給するすべての役員報酬額を予め予算のような形で決めておき、個別の額についてはその後、役員同士の総意により決めていくというものです。

 

決算が終わってすぐの提示株主総会で、次の期1年間の役員報酬を決めるのが一般的ですが、定時株主総会でなくても問題ありません。

決算後3カ月以内でないと役員報酬額の変更は原則できませんが、定時株主総会で決めなければならないというルールはないからです。

 

株主総会では必ず議事録を残しておく

小さい会社ほど株主総会は簡素なものになり、議事録などの記録を残していないこともあります。

社長一人で経営しているような会社の場合、役員報酬も一人で決めるため、記録の必要性を感じていない方もいます。

実際、会社法では、株主全員の同意をメールや書面などで確認が取れれば、その内容で決議があったものとみなすことになっています。

この場合、株主総会を開く必要はないとされていますので、議事録により明確に「決議があった」という旨を記録しておいた方が良いでしょう。

議事録が存在することで、役員報酬が適正に決められたという証明になるからです。

 

最後に、専門家に相談する前に自分でも正しい知識を

今回は役員報酬をテーマに解説しました。

役員報酬は決定するプロセスや変更時などに明確なルールが存在します。

まずは、会社の経営陣である役員がこのルールについて理解することが大切です。

ルールに従わないと、役員報酬が損金に計上できないなど、思わぬ損失につながる可能性もあります。

税負担を減らすための知識も必須です。

税理士に相談する前に必ず自分でも知識を蓄えておきましょう。

役員報酬は会社経営をする上とても大切なものです。

自分の成果でありモチベーションになるものですので、しっかりルールを理解し適切な決定をするようにしましょう。