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元入金とは?個人事業主の資本金となる元入金と仕訳について解説

『会社設立のミチシルベ』のカネコです。
会社を設立する際に、株主がはじめに出資する資金を資本金と言います。

資本金は会社を立ち上げる際の準備金であり、事業を始めるときの運転資金となります。

一方、個人事業主の場合、事業を始める際にこの資本金はありません。

個人事業の場合は、資本金と同じような概念である「元入金(もといれきん)」が開業資金となります。

今回はこの元入金について解説します。

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目次
1.資本金と元入金の違い

2.元入金は資本金と同様に事業の信用性を表す

3.開業時の元入金について、仕訳と計算方法

4.決算時の元入金について、仕訳と計算方法

5.まとめ
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資本金と元入金の違い

会社の資本金と、個人事業の元入金の違いですが、開業資金と言う意味ではほとんど変わりはありません。

事業を開始するには、その事業に使用する機器や備品など、必要なものを購入する必要があります。

場合によっては事務所を借りるなどしなければなりません。

その際、もちろん資金が必要になる訳ですが、これは会社で言えば資本金に当たる資金から、個人事業では元入金から購入することになります。

ですので、意味合い的にも用途的にも、資本金と元入金はほぼ同じものです。

唯一の違いを挙げるとしたら「出資元が違う」という点です。

株式会社の場合は、開業するときに株式を発行するため、その株式を購入してもらって開業資金を確保する選択肢があります。

個人事業主の場合は株式を発行することができないため、基本的に事業主である本人が開業資金を用意する形になりま。

そのため、出資元は本人に限られます。

株式会社は基本的に資金調達を効率化するための会社形態ですので、開業資金の部分も個人事業とは違いがあります。

【元入金の特徴】
・法人における資本金に当たるもの。
・「元入金」は個人事業主だけが使用する勘定科目。
・個人の確定申告で元入金を会計処理する必要がある。
・資本金と違い、毎年元入金の額は変わる。
・帳簿上で元入金がマイナスになっても問題ない。

元入金は資本金と同様に事業の信用性を表す

会社の資本金は企業価値を表し、投資家に対して会社の信用力を見せる指標となるものです。

一般的に資本金が大きい企業の方が社会的な信用力が高いとされ、銀行から融資を受ける際にも有利になります。

これは、一般的に認知されていることであり、企業経営や会計知識にとぼしい方でも想像できると思います。

では、個人事業主における元入金はどうでしょうか?

結論から言うと、元入金についても資本金同様、事業の信用力を表しており、銀行融資を受ける際にも元入金は必ずチェックされます。

また、青色申告で最大の控除を受けるには、複式簿記による帳簿付けが必須です。
そして、その帳簿をもとにした貸借対照表の作成も必要になってきます。

貸借対照表は、借方と貸方(左側と右側)が必ず一致するものなので、そのためには「元入金」の科目の記入が不可欠となっているのです。

最大の控除を受けるには「事業規模に関係なく、複式簿記の帳簿付けに元入金の記入が必要になる」という点を覚えておいてくださいね。

白色申告の場合や、青色申告で10万円の控除を受ける場合は、貸借対照表の作成は必要ないので、元入金ではなく「事業主貸」とすることもできます。

帳簿の記入方法については、後ほど詳しく説明します。

元入金0で事業はスタートできる?

会計上、元入金が0円でも事業はスタートできますが、事業で使う資金はすべて自分の財布から捻出する必要があります。

元入金0円の場合、事業上の資産部分を表す貸借対象表で、どれくらいの資産があるのかを証明することができません。

もちろんですが、銀行融資を受ける際には不利になります。

銀行担当者から見ても、信用性を判断することができないからです。

目安ですが、事業を開始してから概ね半年間くらいに、必要な資金を元入金に入れておいた方が良いでしょう。

もし元入金がマイナスになったら?

事業上の収益がマイナスで、自分の財布から資金を捻出することが多いと、当たり前ですが、元入金がマイナスになることもあります。

この場合、事業自体は赤字経営ですので、事業の継続が心配されますが、元入金がマイナスになっても事業は継続できます。

この場合、確定申告の前段階で行う決算書作成での収支もマイナスです。

それ自体に問題はないのですが、元入金ゼロの場合と同様、もしくはそれ以上に銀行からの融資には不利となるでしょう。

単純に事業が赤字であることもありますが、結局のところ自分の財布から資金を捻出しているため、事業資金とポケットマネーが混同していることを意味しているからです。

個人事業の場合は仕方ないところもありますが、事業資金と私生活の資金があまりに混同している場合は、金融機関からするとマイナスイメージです。

元入金がマイナスと言うことは、事業の業績と私生活のバランスが悪く、「管理能力が低い」と言うイメージを与えてしまいます。

開業時の元入金について、仕訳と計算方法

ここでは、個人事業を開始するときの元入金について解説します。

事業を開始するときの開業資金については元入金勘定で処理をします。

仕訳例を見てみましょう。

(例)開業時、事業用口座に100万円を入金し、別途開業費100万円を支払った場合

 

借方 金額 貸方 金額
現金預金 1,000,000 元入金 2,000,000
開業費 1,000,000

 

開業時の仕訳はこれだけです。

もし、開業時に固定資産に当たるものがあれば、固定資産の勘定科目に分ける形になります。

次の決算までこの元入金額を変更することはありません。

決算時の元入金について、仕訳と計算方法

個人事業主の場合、確定申告をすることで前年の課税対象額を確定させ、税金を算出します。

個人事業主の決算とは、確定申告前に1年間の収支を計算することですが、ここでは決算時における元入金の仕訳と計算方法について解説します。

決算時に行う元入金の会計処理の手順

  • その期の収支(損益)を計算する。
  • 損益分を元入金と合算する。
  • 事業主借と事業主貸の差額を元入金と合算する。

 

まず①、収支を計算します。

これは、単純に売り上げから仕入れや人権費などの経費を差し引いたものです。

(例)当期の売り上げが150万円、経費が50万円であった場合

借方 金額 貸方 金額
売上 1,500,000 損益 1,500,000
損益 500,000 仕入 500,000

 

この場合、損益勘定は、「1,500,000-500,000」で100万円となります。

よって、100万円が利益となります。

 

次に、この100万円を元入金と合算します。

(例)当期の利益100万円を元入金に計上

 

借方 金額 貸方 金額
損益 1,000,000 元入金 1,000,000

 

これで当期の利益を元入金に計上しましたが、個人事業主の場合は、これだけではまだ貸借の整合性が取れません。

それは、個人事業主の特徴である、事業主借と事業主貸と言う勘定科目に理由があります。

・事業主借:事業用資金を事業主に借りること。

・事業主貸:事業用資金を事業主に貸すこと。

事業主借の仕分けについて

例えば、事業で必要なものを買う際に自分の財布から購入したとします。

このとき、もちろんですが事業用の口座から現金は減っていません。

このときの仕訳例は以下の通りです。

 

(例)ホームセンターで事業に必要な家具を購入。自分の財布から支払った場合。

借方 金額 貸方 金額
事務所備品費 30,000 事業主借 30,000

※事業主から資金を借りて家具を購入しているので、事業主借の科目に該当します。

事業主貸の仕分けについて

次に事業主の生活費を事業用の口座から引き出した場合を例にします。

個人事業主の場合、法人の役員報酬のような給与という概念がないため、事業用の口座から生活に必要な資金を引き出す必要があります。

 

(例)生活費として20万円を事業用口座から引き出した場合。

借方 金額 貸方 金額
事業主貸 200,000 現金預金 200,000

 

事業主借と事業主貸は、決算時に相殺しますので、

(例)事業主借勘定の残高が3万円、事業主貸勘定の残高が20万円の場合。

 

借方 金額 貸方 金額
事業主借 30,000 事業主貸 200,000
元入金 170,000

 

事業用口座から貸している方が17万円多いため、この仕訳では元入金からマイナスする必要があります。

よって、決算時の元入金は、以下の通りです。

⇒(開業)200万円+(利益)100万円-(事業主勘定調整)17万円

⇒283万円

これにより、来期の期首元入金は283万円となります。

まとめ

今回は個人事業主の資本金である元入金について解説しました。

決算時の仕訳と計算方法など理解はできましたでしょうか?

難しい用語が多く、慣れていない方は理解しにくいところもありますが、基本的には元入金は会社で言う資本金と変わりません。

個人事業主は、経費を考えなければ収入がそのまま自分の収入となりますので、企業会計よりも考え方は簡単です。

元入金の考え方も「事業上の利益から生活費を差し引いて残った部分が、もとの元入金に合算される」と考えると家計簿に近いかも知れません。

個人事業主を目指す方は、確定申告前に必ず事業の決算内容を清算する機会がありますので、その際は今回の内容を参考にして頂ければと思います。

税理士にお願いすることもできますが、個人事業主を目指すのであれば、ぜひ頭に入れておいてください。